第25章 甘える勇気
持ってきてくれた帯の中で宇髄さんの好きそうな派手な物を選ぶと女将さんに仕立てをお願いする。
お互いに贈り合った浴衣で花火大会に行けるなんて良い思い出になることだろう。
「ほの花さんが選んだのですからきっとお喜びになりますね。宇髄様はほの花さんのことをとても大切になさっていますものね。」
「そうですね、本当に…。私には勿体無いほどの人です。ありがたいです。」
ふとあの三人を見るとまだ生地と睨めっこしながらもだいぶ絞れてきたのか両手に持ったそれをお互いに合わせ合っている。
「ほの花さん。宇髄様は此処には女性を連れてきた事はないと以前申しましたよね?」
三人の様子をボーッとしながら眺めていると隣にいた女将さんが話しかけてくれたのでそちらに目を向ける。
「え?は、はい。」
「でも、此処にほの花さんをお連れになる前に、ふらっと立ち寄られて貴女のことをお話しになられたことがあるんです。」
それは私が知らない宇髄さんの話で前のめりになり聴き入った。
「今度連れてきたい女性がいるって。浴衣を買ってやりたいんだって仰っていました。その時の宇髄様が本当に愛おしそうに貴女のことをお話になっていたので主人とどんな人なのか楽しみにしてたんです。」
「そ、そうだったんですね…。知らなかったです。」
「はい。思った通りの慎ましい性格の可愛らしいお嬢さんで主人と宇髄様は見る目があると話していたんですよ。」
「そんな…!恐れ多いです。私の方こそ…、選んでもらえただけで幸運なんです。」
「ふふふ…!それも仰られてましたよ。遠慮深い性格で自分の魅力を全く分かってないところが玉に瑕なんだって。宇髄様は正直なお方ですからそんな風に受け取らず、彼の愛を両手を広げて全て受け止めればいいんです。そうすればもっと彼の深い愛を感じられる筈です。」
私のことを包み隠さずに女将さん達に話してくれていた宇髄さんの言葉はいつも私に話してくれることばかり。
"宇髄様は正直な人"
そう思う。
だから女将さんの言う通りにしたら良いと分かっているのに。
視界に入ってくる彼女達を見ると自分の罪が簡単に脳裏をよぎってしまうのだ。