第25章 甘える勇気
"天元のお嫁さんにしてね?"
三回も言わせたのに不安は消えない。
そんな気持ちをぶつけるかのように荒々しくほの花を抱いてもそれは同じ。
抱き潰して意識がないほの花を離すまいと抱きしめて横になると、ボーッとしたまま彼女の顔を見ている。
射精後、独特の微睡みであんなに寝たのに眠くなってくる気もした。
綺麗な顔をしたほの花は瞳を閉じたまま、穏やかな表情で寝ている。
すべすべな肌を弾くように触れて、艶々な唇に触れるとそのまま口づける。
触れるだけの口づけなのにそうすると少しだけほの花が此処にいるとホッとするのだ。
「…ほの花、好きだ。」
俺の嫁になる気なら何であんなこと言った?
少しでもそうならなくても良いって思っているからだろ?
その理由は何だ。
「…愛してる。お前以外無理なのは俺だけかよ。」
違う。
そうじゃないことくらいわかる。
コイツの頭の中の九割は遠慮の塊。
それでも納得はいかない。
ほの花も納得できてないのかもしれないが、俺も納得できない。
お前は俺の女で。それは周知の事実。
三人の元嫁たちですら受け入れていて、何ならこの生活を楽しんでいると言うのに。
「……絶対に離れてやんねぇからな。お前が嫌だっつっても監禁してでもそばにいさせてやる。」
危ない考えすら浮かぶ始末でだいぶヤバい精神状態だが、コイツのせいだ。仕方ないだろ。
未だすやすやと眠りこけているほの花はいつもと変わらない。任務の時、この顔が見たくて帰ってくる。
これから先、一生そうすると決めている。
誰にも奪われたくないし、奪わせない。
今日みたいにほの花に惚れる男がいるのは仕方ないとしても、譲る気なんてサラサラない。
アイツが綺麗で可愛いのは俺がそれだけ愛してるから。
それはこれからも一緒だ。
「ほの花…、どうすればお前を救える?」
遠慮という呪縛を解き放って、本心で本音で俺と添い遂げて欲しい。
そうすることがお前の家族に対しても、あの三人に対しても、最高の恩返しになるんだと気づけ。
お前の遠慮は
ただ
自分が苦しいだけで、誰も幸せになれやしない。