第25章 甘える勇気
──浴衣は私が買ってあげますよ
ほの花が俺の元嫁達に良くしてくれるのは感謝してる。コイツは出会った当初からアイツらに良くしてくれてるし、あの三人もほの花のことを好きでいてくれる。
関係性が良好なのは良いことだが、今日に限ってだと思いたいが、何故こうもほの花がやることなすこと全て勘繰ってしまうのだろう。
ほの花は鬼殺隊の給金があるから自由になる金はあるとは思う。
だが、薬の材料を買うため以外に金を使ってるところをほとんど見たことない。
土産と称して何か買ってきてるところは見たことがあるが、女特有の"買い物"を楽しむ様子を見たことがないのだ。
だからこそ俺がこうして買ってやりたいと思うのだが…
"恋人のままでもいい"
と言うほの花。
まさかとは思うが、アイツらに義理だてしてるわけじゃねぇだろうな?
その詫びに浴衣買ってやるつもりではないか?
勿論、"いつものお礼です“と言うほの花の言葉に嘘はないと思う。
だが、俺との関係がほの花の中で後ろめたい関係性だと思っているような気がしてならない。
「…アイツらは納得してんだからな?俺らのこと。」
「え?俺らのこと?」
キョトンとした顔で返されるので、俺の取り越し苦労なのかもしれない。
それでもちゃんと言っておかないといけない。
自分の気持ちを。
お互いの気持ちを。
「俺らが婚約者っつー関係だってことはアイツらも喜んでんだから。水差すような変なこと考えんなよ。」
「やだなぁ。変なことって何〜?何も考えてないよー?いつかお礼をって思ってたんだけど、後回しにしちゃって申し訳なかったからこの際だからお礼する!」
「…本当にそれだけだな?」
「当たり前だよー!それ以外に何があるって言うの?変な天元…。あ!そういえば寝てないじゃん!!早く休まなきゃ!!」
ほの花に言われて、そう言われればそうだとハッとした。
任務に行って、帰ってきたらそのまま警察に行き、あの男を迎え討ち、さらに買い物に出向いたのだ。
よく考えたら睡眠をとっていない。
そのせいでこんなにも情緒不安定なのだ。
彼女に手を引かれて向かう先は自分の部屋。
しかし、どうしても添い寝して欲しくて彼女の体も布団の中に引き摺り込み眠りについた。