第4章 実力試験は実戦で
「どうしましたか?宇髄さん。」
隊服をきっちり着こなしている彼とは違い、お風呂上がりの彼の夜着姿は色気を醸し出していてそれを見られるのは少しだけ嬉しい。
目の保養というか、美丈夫なのは変わらないが胸が高鳴るほど格好良くて自慢の師匠だ。
「おぅ、悪ぃな。疲れてるとこ。少しだけいいか?」
自分の体が胸の拍動によって振動してるのではないかと言うほどでそれに気を取られてまともに顔を見られない。いや、色気に当てられて見られないのか。
そんなことを考えていると宇髄さんが唐突に話をはじめた。
「お前、鎹鴉が欲しかったのか?」
「……え?」
私の顔は"何故バレたのだ?"と言う顔をしているのだろう。呆れたような顔をしている宇髄さんがそれを物語っている。
え、何で?しのぶさんにだってそんなことは話していない。
え、何でバレたの?!
「…やっぱりそうか。それで急に最終選別を受けようと思ったんだろ。」
「え、いや、それだけじゃない…です、けど、きっかけは…。」
「何でそんなに鎹鴉が欲しかったんだよ。お前がお館様に頼めばくれたんじゃねぇの?」
もちろん、それを考えなかったわけではない。
お館様は両親に日輪刀を渡してくれたくらいだから頼めば特別にくれたかもしれない。
でも、今、わたしは宇髄さんの継子なのだ。
特別扱いを受けたら宇髄さんが何か言われたりするのではないかと気になったし、皆命をかけて支給されるようなものなのだと知ってしまったら自分の舞扇を途端に隠したくなった。
これを持っているのだからちゃんと鬼殺隊として認められて支給されたのだと胸を張って言いたかったのだ。