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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第25章 甘える勇気




目の前にいるほの花は未だに元気がない。
あんなことになって気にすんなと言う方が無理なのかもしれないが、これ以上彼女が気に病むのは不本意だ。


「…今回のことはお前は悪くねぇし、不運だったと思うしかねぇよ。だけど、一度会っただけでああも熱烈に好かれちまうのはお前がクソ可愛いからだっつーことに他ならねぇ。少しは自分の魅力に気づいたか?」


「気づいたか…ってたまたま好かれてしまっただけだよ。確かに不運だったと思うしかないよね。」


こうなってもまだほの花は否定するが、どんな表情の彼女も可愛いのはさる事ながら、不意打ちの笑顔は恋に落ちても仕方がないとよく感じる。


今回も恐らく不意打ちのクソ可愛い笑顔にやられたのだと察するが、そんなことをほの花に咎めたとしても無意識なのだから仕方ないのだ。


「気づいてると思うけど、俺は今回自分だけで直接手を下さなかった理由はたった一つ。殺人を犯さないためだ。」

「天元…?」

「昨日、お前の話を聞いて正直殺さない自信がなかった。さっきだってぶん殴ろうと拳を何度か握りしめたか。鬼殺隊のため、お館様のために我慢したが、一人で対処していたら最悪の事態になっていたと思う。」



自分の女が他の男に好かれて付き纏われて、冷静でいられるほど精神は成熟していない。
そうなれば腹が立つし、苦言を呈したくなる。喧嘩になれば手も出したくもなる。だが、一般人相手に喧嘩すれば拳一発でお陀仏の可能性だってある。
そうしないために第三者を巻き込んだのだ。


「…だからよ。お前も巻き込めばいいんだ。一人で悶々と考えていても碌な考え浮かばねぇから。それなら俺に一緒に考える機会をくれよ。知らないっつーことは一番悲しいもんだ。」


「…ごめん、ね。確かにそうだね。もう二度とないとは思うけど、次あったらすぐに相談するね。」


"もう二度とない"と言うのは希望的観測によるほの花の空想に過ぎないが、出来れば二度と相談にくることがないというのを願わざるを得ない。

ただ…


そうやって目の前で目尻を下げる俺の女は


ため息が出るほど綺麗な女なのだ。

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