第25章 甘える勇気
宇髄さんと情報共有しないといけないことはたくさんある。
明日、自分の尻拭いをさせてしまうわけだからそのためにするべきことをしないと話が余計に拗れる可能性さえあるから。
私はゆっくりと体を離すと宇髄さんを見上げた。
「あの、ね…、多分元奥様達と宇髄さんが一緒にいるところ見たみたいで、『君は騙されてる』って言ってきたの。」
「はぁ?…あー、そういや一度だけ塀の穴のことで四人で外にいたことはあったな。その時かもな。」
「あー、そっか。それで…此処が一番頭が痛いところなんだけど、その人の中で何故か私はもう既に彼と愛し合う関係みたいになってて、ちょっと意味がわからない…。」
手紙の中でも
話の中でも
私のことを好いてくれているのはわかるけど、どこでどうしてそうなったのか?
その経緯が私には全く分からない。
だからこそ困っているのだが。
「気狂いだと言うことだけは伝わってくんな…。」
「手紙にも書いてあったでしょ?既に恋人同士みたいな言い方してて、どうしてそうなったのか私にもサッパリで…。」
「だけど、お前が忘れてるだけで何かキッカケがあったんじゃねぇの?」
きっかけ…?
いや、今日顔を見たけど全然知らない人だった。全く見覚えもない…と思うけど…彼の言う通り私が忘れているだけって言う線も濃厚だ。
「……それはあり得るかも…。わたし、天元にしか興味ないから…。」
「おい、サラッと滾ること言ってくんなよ。抱くぞ、今すぐ。」
「え…?今日夜任務行くんだよね?」
「そうだけど、どうすればいいんだよ。勃ったぞ。」
頬から首筋にかけてを厭らしく撫でてくる彼にゾワゾワッと欲情が迸る。
熱っぽい視線を見れば彼の言っていることが本気だと悟り、目を彷徨わせた。
「…ったく、腹立つ男だよな。人の女に惚れるわ、付き纏うわ、変な手紙送りつけるわ、覗きするわ…。腹が立って仕方ねぇよ。」
「て、天元…。」
「だけど、そんな変な男のおかげでお前が俺に助けを求めて来たっつー事実もある。その前に英気を養わねぇとな?ほの花。」
そう言って妖艶に笑う宇髄さんの色気に当てられて私はいとも簡単に彼の手の中に堕ちた。
どれだけ愛されても、彼の愛に叶う人間なんてこの世にいないのだと刻み込まれるように私は彼に抱かれた。