第4章 実力試験は実戦で
「まぁ、苦言はここまでにして、ほの花さんのことでもう一点聞きたかったことがあるんです。」
まだあんのかよ。
つい今の今まで俺のことを袋叩きにしておきながら飄々と質問してくる胡蝶の度胸には驚かされるが、他でもないほの花のことだ。
「あ?何だよ。」
「あの武器って何ですか?舞扇の先だけ日輪刀にも見えるのですが。」
さすがは胡蝶。鋭いな。
ほの花のことを他の奴にペラペラと話すつもりはないが、コイツの継子と共同鍛錬するとなっては言わないと不自然だ。
「…日輪刀だ。両親がここに来ていた時、護身用に作ってもらえないかってお館様に頼んだんだとよ。本人がお館様に聞いて確証を得てる。」
「なるほどー、そういうことなんですね?ではあの金色に変化した刃先は陰陽師ということが関係してるってところですか?」
「お前な、分かってんなら聞く必要ねぇだろ。」
「確信がなかったもので聞きたかったんですよ。」
胡蝶の読みは大正解で、俺はさっきからため息しかでやしねぇ。まぁ、ほの花が昨日曝露した以上、胡蝶の鋭さならこうなることは分かっていたことでもあるが。
ほの花は元々、俺のところに来た時点で基礎はしっかりできていたし、あの舞扇での戦い方も心得ていた。俺が教えたのは基礎体力の向上と基本的な戦い方だけ。
遠くの方で客観的にほの花を見てみると、最終選別を受けたとしても死ぬことはないだろう。
その辺の鬼殺隊よりも強くなっている。
だが、胡蝶の話を聞いてもまだ納得できないのは鴉がもらえるのか聞いたというところだ。
…欲しかったのか?
だとしてもそれだけ?
もちろんあの後、つらつらと並べたほの花の想いは嘘じゃァねぇことくらいわかっている。
根本的なきっかけが知りたかったからここに来たが、鴉が欲しい…?
素直なほの花が考えてることは大体分かっていたつもりだったが、俺もまだまだのようだな。