第25章 甘える勇気
手紙の内容は日に日に過激になっていた。
最初は顔を見れて嬉しいだの、見ているだけのことだったのに、昨日くらいから内容は卑猥なことにまで発展して、更に良からぬことが書かれることもあった。
元奥様達に先にバレてしまったことで、時期は早まったがこの人とはちゃんと話さなければと思っていた。
遅かれ早かれ彼に会って文句を言うことは考えていたことなのだ。
「…お手紙、たくさんありがとうございます。でも…、とても困ります。」
「読んでくれたんだね。ありがとう!ああ、君の声は本当に美しい。聞いただけで昇天しそうだよ…!」
勝手にしてください。
気色悪いことを本人目の前にしてよく言えたものだ。ものの見事に「困ります」と言うところだけ聞こえていないかのように無視する彼に項垂れることしかできない。
「…お気持ちは嬉しいですが、私には添い遂げると約束した方がいらっしゃるので…。申し訳ありません。」
「ああ…、何て白くて艶のある肌なんだ。触れてみてもいいかな?いや…、夜のがいいか!今日は…君と僕の初めての夜だから…楽しみだよ…!何度君を想って一人寂しい夜を過ごしたか…。」
なるほど、これが宇髄さんが言ってた"オカズにする"ということか。
と、感心してる場合ではない。
話を全然聞いてくれない彼に向かって今度は強めに伝える。
「あの!私には恋人がいるのでお気持ちに応えられません!!ごめんなさい。もう迷惑なのでやめてください!」
「煩い煩い煩い煩い煩い!!黙れ!!!」
突然、豹変したかのように声を荒げるその人に少し肩を震わせてしまった。
私のが強い。
でも、普通の会話ができないことが恐怖でしか無い。
「見ていたよ…?浮気なんてひどいことをしても僕は君を許すよ?だって結局は僕のところに戻ってきてくれるじゃないか?」
「…浮気じゃないです。私は彼のことを愛してるんです。」
どうやら説明は不要のようで、この人は宇髄さんを見たことがあるらしい。
しかし、彼の中で宇髄さんが浮気相手だということに変換されているのは不服でしかない。
私が愛してやまないのは宇髄さんだけなのだから。