第4章 実力試験は実戦で
胡蝶と話がしたいと思ったのは疑問が払拭できなかったからだ。一昨日、急にほの花が鬼殺隊の最終選別を受けたいと言って、了承はしたがいくら考えても納得ができないことがあった。
そもそも何でそんな話になったのだ。
胡蝶の継子が最終選別を受けると言う話になったきっかけがいくら考えてもわからなかった。
であれば…本人に聞くしかねぇってもんよ。
ほの花たちが共同鍛錬をしているところから少し離れた縁側に腰掛けると出された茶を勧められるが、先に胡蝶に向き合った。
「せっかちですね。誰も逃げたりしませんよ。お先にどうぞ?宇髄さん。」
「何故最終選別の話になったんだよ。」
「藪から棒ですねぇ。顔怖いですよ。」
そうは言われてもこの二日間いくら考えても答えは出やしねぇ。ほの花が鬼殺隊に興味を示すようなことは今までなかったのだ。
何故突然、俺ではなく胡蝶に言ったのか?それが分からなくて気持ちが悪い。
「あの時は…あ、そうそう。柱は全員鴉がもらえるのか聞かれたんですよ。」
「…は?鴉?ほの花から?」
「そうです。ほの花さんから。だからその流れで最終選別で合格したら支給されますと伝えたんです。」
嘘をついているような感じは受けないし、流れ的に胡蝶が最終選別と言う言葉を発するのは不自然じゃない。
どちらかといえば不自然なのは突然鴉のことを聞いたほの花の方だ。
「何で鴉?」
「そんなことは知りませんよ。私より宇髄さんの方がご存じなんじゃないんですか?随分と可愛がっていらっしゃるようですし…?」
含みのある物言いに胡蝶の言いたいことが伝わってきてため息が漏れる。
「何だよ?言いたいことがあるならはっきり言え。」
「では、はっきり言います。ほの花さんに手を出したんですか?」
「おい、もっと濁して言えねぇのか!それに手は出してねぇ!!」
あまりに大きな声を出して否定したがため、驚いたほの花とカナヲがこちらを振り返った。
胡蝶が「気にせず続けてください〜」と言ったことで二人は打ち込みに戻るがこちらは微妙な空気が流れている。