第4章 実力試験は実戦で
翌日、朝の鍛錬を予定通り終えるとしのぶさんのところに行こうと準備していた私の部屋に突然宇髄さんが現れた。
「あら、今日はお揃いで。ちょうど良かったです。宇髄さんとも話したかったんですよ。」
「俺もお前と話がしたかったんでな?」
「あら、怖いですねぇ。」
え?!まさか喧嘩売るつもりで来たのだろうか?思わず隣にいた宇髄さんを引き攣った顔で見てみたがポンポンと頭を撫でられて「暴れたりしねぇよ」と言われた。
しかし、不死川さんの家で玄関を破壊した彼に説得力などない。
「では、カナヲとほの花さんは昨日と同じように打ち込みを100回。カナヲは呼吸を、ほの花さんは陰陽術を使ってくださいね。」
「じゃ、ほの花頑張れよ。帰りはまた担いでやるから存分に体力使い果たせ。」
柱の二人はそれぞれがそれぞれ怖いことを言っているのにとても爽やかに笑うものだからジト目で見てしまった。
仕方なくカナヲさんに「よろしくお願いします」と向き合った。
あまりカナヲさんが喋る方ではないので、私一人で喋ってる感じだが笑った顔はめちゃくちゃ可愛い。
ゴリラ…
この子はゴリラだ。
私は潔く武器を取り出すと彼女に向けた。
ゴリラに見えるわけがないのだが、最終戦別で死ぬわけにはいかないのだ。
私は…
私は、鴉をもらうんだ!!
邪な気持ちを前面に出せばご褒美がかかった子どものように今日は本気を出すことができたが、カナヲさんは身のこなしが絶品で早い。
宇髄さんに慣れてはいるけど、細くしなやかで慣れてない分難しい。
舞扇は両手で使う分、隙は少ないが一回の攻撃の重さが軽い。宇髄さんほどの腕力があればそこまで気にならないが、首を斬ろうと思うとその時点で鬼門封じを使う必要があるのか。
宇髄さんの鍛錬ではただただ体力と戦い方を重複して練習していたので、今はそれを応用してカナヲさんに手伝ってもらうという感じでそうと決め込めばだんだん彼女に武器を向けるのも徐々に納得できていった。