第25章 甘える勇気
ドス黒い感情を抱えながらも、居間に案内するとそこにいたのは正宗達。
時透を迎えるため今の準備をしてくれていたらしい。
「あ、時透様ですね!ほの花様が先日お世話になったようで。ありがとうございました。」
深々と頭を下げる三人に首を傾げてこちらを見るので、三人とほの花の関係性を話してやる。
「ほの花の元護衛なんだ。アイツが子どもの頃から仕えてるんだとよ。」
「なるほど…。こんにちは。こちらこそほの花さんにはお世話になりました。よろしくお願いします。」
初見で見るとほの花の護衛とは何ぞや?と言ったところだろう。
コイツにはまだ陰陽師のことは言っていなかったので、伝えておいた方がいいだろう。
戦ってるところを見たのならば、ある程度予測しているかもしれない。
しかし、細かいことを気にする奴ではないから言わなかったのか。
「…まぁ、座れよ。先に茶でも出すわ。」
「いえ、本当はお菓子でも買ってこようと思ってたんですけど…、先にほの花さんをお見かけしてしまったのですみません。」
「子どもがそんな気遣うなって。気持ちだけもらっておくな。」
茶菓子を持ってくるよりも時透の功績は俺からしたらそれ以上ないことだ。
ほの花を守ってくれたことと茶菓子など比べようもないのだから。
大進が茶を淹れてくれて俺と時透の前に出してくれると「ごゆっくり」と言って三人で部屋を出て行った。
「ありがとうございます。宇髄さんのところは大家族ですね。いつも賑やかそう…。」
「ああ、すっげぇうるせぇわ。毎日毎日。だけどよ、人数が多いのもいいぜ?退屈しねぇし。それにお前もほの花の弟なら俺の家族同然だろ?」
"私の弟になりました"宣言をしていたのは記憶に新しい。
兄しかいなかったほの花は弟ができたことを喜んでいたし、時透も気を許していたのでその関係は見ていて微笑ましいものだった。
「…ありがとうございます。"姉"が何だか抜けてるので宇髄さん苦労してそうですね…。」
苦笑いを浮かべてそんなことを言う時透に同感の意を表し、大きく頷くと俺も苦笑いをした。