第24章 情欲は無限大※
朝の陽の光は爽やかで清々しい。
いつも隙間から入るそれで眩しくて目が覚めるのだが、今日はとても清々しいとは言えない。
朝起きて、大好きな人の腕の中にいるのはいつものことなのだが、起きた瞬間の酷い頭痛に顔を顰める。
そしてもっと清々しくないのは胃の気持ち悪さだ。
しかしながら、シた記憶はないのに私も彼は一糸纏わぬ状態で、腰痛と膣のヒリヒリとした痛みは情交後特有のもの。恐らく足腰は立たないだろう。
寝ている彼を揺らして起こす羽目になってしまったのは申し訳なくて仕方ない。意を決して彼の肩を揺らしてみることにした。
「て、天元…起きてー、天元…。」
「…んー、ん?…あー、ほの花おはよ。」
「おはよう…起こして申し訳ないんだけど……。」
すぐに目を開けてくれた天元に朝っぱらからとんでもないことを言わないといけないことに言い淀むが、早く言わないとまたもや酷い惨状を引き起こすことになってしまう。
「ん?どーした…?」
「……吐きそう…。」
「…は?……って、おい、マジか!」
その言葉を聞いた瞬間、慌てて起き上がり私に夜着を羽織らせて体を抱き上げて走り出す。
起き抜けによくこんな全力疾走ができるものだ…と感心している場合ではないが、向かう先は厠だ。
ドタバタと厠に向かう私たちに途中で正宗達とすれ違ったが、朝の挨拶もできずに通りすぎた。
広い屋敷はこういう時にすぐに厠に到着できないのが困るが、今回は彼のおかげで最悪の事態は免れた。
厠に到着すると盛大に胃の内容物を全て吐いた。
何なのだ…、体調など悪くなかったのに突然の吐気に首を傾げることしかできないが、この際間に合ったので良しとしよう。
しかし、一難去ってまた一難
今度は先ほど感じていた頭痛が酷くなったように感じた。
外から「おーい、大丈夫か?」と宇髄さんの声がしたので、一頻り吐き切った後だったので、フラフラしながら厠を出ると、口を濯ぐために洗面所に連れて行ってくれた。
そして、しっかり口も濯いで爽やかな口腔内になったところで衝撃の事実を知ることになる。
"間に合ったから良しとしよう"ではない。
穴があったら入りたいどころではない。
もう二度とこの世の土を踏めない度合いの失態に白目を剥いたのだった。