第24章 情欲は無限大※
ほの花を失ったらどうなるか?
一時、別離期間の際、情けなく体調を崩した。しかし、あの時はほの花を失ったとは言え、生きていた。
そうでなければどうなっていただろうか。
柱として任務を遂行することができたかと言われたら即答できない。
いま、俺の上で喘いでいるほの花を見ることも感じることも出来なくなるなんてことを考えたくもない。
当たり前のような日常が無くなるかもしれない。
そんな恐怖を感じたのはあの血鬼術にかかった時から現実を帯びた。
自分が居なくなったら…?よりもほの花がいなくなったら…?を考えると恐怖で打ち震える。
情けないが、それほどまでに溺愛してしまっているし、失えないと強く思ってしまっている。
任務に行かせることが日に日に嫌になっている中で、医療班として行くことが増えていたのは幸運だった。
少しばかり安心材料が増えるのはありがたいからだ。
「っ、ああっ!やぁっ、ふあっっんんっ!あああっ!」
「…っ、ほの花…、俺より、先に…死ぬな、よ…?」
「……え、?んあっ、やぁっっ!ああっ!」
「約束…っ、しろ…!俺より、先に、死なないって…!」
何故情交中にこんなことを言ったのだろう。
そこまで余裕がなかったと言われればそれまで。
だけど、言葉で欲しかった。
いつものほの花だと変に勘繰ってくるが、今ならば明日には忘れてくれているかもしれない。
こんな弱音を曝け出すのは情けないから見られたくない。
──お前が死ぬことが怖くてたまらないなんて
「て、んげん…、が、やくそく、してくれる、なら…、す、る!」
「…はっ?ば、ぁか!それじゃ、意味、ねぇだろ…?」
「じゃあ、しない。」
今のほの花ならば言葉にしてくれると思いきや、断られてしまったことに目を見開く。でも、彼女はそのまま言葉を続ける。
「いっしょ、にいきる…、から!しぬ、ことなんて、かんがえない…!」
俺は一体、彼女に何を聞いてしまったのだろうか。
考え始めたら悪い方ばかりに考えるのが人間というものだ。
だが、そんなことを気にしていたら"今"を無駄にしてしまうことに気付かされた。
この大切な大切な二人の甘い時間を。