第24章 情欲は無限大※
大広間に帰ってくると俺と胡蝶は絶句した。
だが、その反応は間違ってはいない。
どちらかと言えば大正解だし、恐らく俺は怒って良いと思う。
「お、旦那が帰ってきたぞ!ほの花!」
「やだぁーー!旦那さんじゃないです!まだ!えへへへへ!」
「何だよ、また惚気かよ!!」
そこにはベロンベロンに酔った柱二人と俺の女が三人で肩を寄せ合ってまだ尚、酒を煽っていた。
と言うか…何故ほの花が酔っ払ってるんだ。
俺は酒を飲ませた覚えはない。
ちびちびと茶を啜っていた筈だ。
それなのに彼女の手には猪口が握られていて眉間に皺を寄せることしかできない。
「…部屋を壊すのだけはやめてくださいね。」
「………わぁーってるわ。」
漸く隣にいた胡蝶が絞り出した言葉に深く頷くと極力冷静を保ち、奴らに近づいた。
「おい、お前らほの花に酒呑ませんな。」
「宇髄!!どうやらほの花は意外にイケる口のようだぞ!よし、飲み直そう!」
「お前ももうやめとけ、煉獄。」
「何でーー!!そんなこと言うの!煉獄さんはもっと飲むと言っているのであります!!やめとけなんてだめだめっ!あははっ!」
いや、お前が一番やめろ。
酒癖悪いとは聞いていたが、本気で悪いな。
優雅に月見酒などできるような感じではない。
もっとこう…妖艶に酔うのかと思ったが、そんな気配はない。
「何だよ、宇髄!お前も飲み足りねェだろ?おら、俺が酌をしてやる!」
「あーー!駄目ぇーー!不死川さん!宇髄さんにお酌するのは私の役目ですー!!駄目駄目ー!」
今度は徳利を取り上げようとあろうことか不死川の上に乗り出すほの花に流石の俺も苛ついてきた。
「おい、ほの花。いいからこっち来い。」
「やだぁーー!お酌するんですー!不死川さーん!返してくださーい!」
「元々お前のじゃねェだろうがァ!!」
しかし、酔っ払いは酔っ払いだ。
どちらも冷静な判断が出来ていないのだから、徳利を不死川から取り上げた瞬間、バチャァッと派手に頭から酒を被ったほの花。
ぽた、ぽた…と水滴の音だけが聴こえる室内に不死川と煉獄はどうやら酔いが冷めかけているようで目を丸くしている。
そんな中、最もタチの悪いのはどうやら俺の女のようだった。