第24章 情欲は無限大※
もう一つの薬の本も貸した方がいいだろうか?とも思ったが、あの本は見た感じはただの料理本。
解読方法にはコツがいるし、骨が折れる。
だとしたら解読したものを都度で伝えた方が効率がいいか。
「いえいえ、たくさん読んでくださってありがとうございます。母も喜んでいると思います。」
「本当に目から鱗なことばかりで勉強になりました。ほの花さんのお母様はとても素晴らしい薬師さんです。」
こうやって知識のある人に母のことを褒めてもらえるのは喜びも一入だ。
母のしてきたことの功績が認められたような気がして、私も鼻が高いと感じていた。
「先に持ってきますね。」と言って部屋を退出したしのぶさんを見送り、目の前のご馳走ににんまりと顔を綻ばせると酒盛り真っ最中の3人をよそにお酌の機会を窺いながら今度は食べることに集中することにした。
体重増加の目標は達成してはいるが、折角のご馳走を残したら勿体無い。恐らくアオイちゃんが作ってくれたのだろうし、有り難く口をつける。
作るのが大変だったろう。
彩り豊かなちらし寿司
カラッと揚がった天ぷら
新鮮なお刺身
お野菜がゴロっと入った煮物やおひたし
どれも美味しくてついつい食べ過ぎちゃいそうだけど、よく考えたらここ数日、私は腰痛のせいで鍛錬も思う通りにできなかったことを思い出す。
きっとしのぶさんのことだから残ったら持ち帰って良いと言ってくれる気がするので無理するのはやめておこう。
あとでまた食べ過ぎで吐いたら宇髄さんにドヤされるに決まっている。
すると、宇髄さんが私の肩に手を置くと急に立ち上がったので見上げて目を合わせる。
「厠言ってくるわ。大人しくしてろよ?」
「…はーい。いってらっしゃい。」
そう言って頭を撫でてくれて部屋を出て行った宇髄さんを見送り、再び食事を再開しようとすると両隣に煉獄さんと不死川さんが来てくれた。
「あ、…お酌しますか?」
「いやいや、俺は良い!それよりほの花!お前も飲め!」
「そうだぞ!ほの花、君は20歳超えてるだろう?飲んでも問題ない筈だ!今日は無礼講といこうじゃないか!」
そう言って肩を組まれるとお猪口を渡されてなみなみとお酒を注がれてしまう。
苦手だと言うことも出来ず、迷った挙句一口だけそれを飲むと、私の記憶はそこで止まった。