第24章 情欲は無限大※
もう来てしまったものは仕方ない。と覚悟を決めると私は柱の皆さんを精一杯楽しんでもらおうとお酌をして回ることにした。
お酒を飲むのは宇髄さんと不死川さんと煉獄さんだけだけど。それでも何もしないよりはマシの筈だ。
継子の分際でただ飲み食いするだけなんて図々しいにも程がある。
漸くお酌をし終わり、宇髄さんの隣に戻ると予想はしていたけど不満そうにこちらを見下ろしてくるので誰にも見られないところでこっそりと彼に掴まってみる。
少しでも触れていれば、彼の機嫌も直ってくれるだろう…!という私の勝手な期待に過ぎないが、それでもやらないよりはマシだ。
「そういや、時透の任務はどうだったんだよ?行ったんだろ?ほの花が。」
「時透の任務とは何だ?ほの花が時透と任務を共にしたのか?それは実に頼もしいな!俺とも一緒に行こう!!牛めしをご馳走しよう!」
「いや、煉獄、テメェのその言い方だとただ飯食いに行くだけみてぇじゃねぇかよ!二人っきりで飯なんか行ったらぶん殴るぞ!!」
「何故だ?腹が減ったら食事くらいするだろう?ほの花が餓死してしまうぞ?」
「そう言う場合は許す。」
一体、何を話しているんだろう?
この人たちは。話が脱線していても最早お酒も回っているので誰も突っ込まない。
そんな姿に私としのぶさんは苦笑いをする。
「宇髄さんって本当に裏表ないですよね。お酒が強いって言うのもあるかと思いますが、素面の時と全く変わりませんもんね。」
「それはそう思います。しのぶさんはあまり飲まないんですか?」
「はい。消毒液に見えてしまいますので。」
「あー…確かに…!それはわかる気がします!」
しのぶさんの考えは医療者ならでは。
匂いこそエタノールとは違うのだが、結局のところ同じことだ。
琥太郎くんの怪我の治療に使用したくらいなのだから消毒液だと言われたら間違いはない。
「ほの花さん、そういえばそろそろあの薬事書を返さなければ…と思っていたんです。あとでお持ちしてもいいですか?長い間お借りしてすみません。」
そう言われれば薬事書を貸していたと今思い出した。
しのぶさんのことだ。熱心に読み込んでいたのだろう。貸したことを失念しているような私とは大違いだ。