第24章 情欲は無限大※
ほの花を連れて向かう先は蝶屋敷の大広間。
そこに通されると既に卓にすごい量の料理が並べられていて胡蝶が入ってきた。
「あら、よかった。ほの花さん、ちゃんと来てくれたんですね。」
「そりゃ来るだろ。来ねぇ理由がないだろ?あ、これ甘味な。土産。」
「ありがとうございます。あ、座ってくださいね。」
持ってきた手土産を渡すとほの花と共に空いてるところに座る。
早く座らねぇと今度は上座とか下座とか気にし出して襖の近くで小さくなっちまうに決まってる。
「宇髄さん…!私がそちら側に座ります!!」
「はぁ?いいだろ、そこにいろ。お前がこっち側にいた方が落ち着くんだよ。」
案の定、変われと言ってきたほの花の気にしているポイントは明らかに俺が危惧していたそれで間違いない。
しかし、いつも食事を囲む際には自分の右隣にいるほの花が反対側にいると違和感しかない。
立ちあがろうとするほの花の肩を掴んで押さえ込むとジタバタし出すが、もう無視してやろう。
「お前ら何してんだよ?此処に来てまで変なことすんなよ?」
「してねぇわ。コイツの暴走を止めてんの。」
「ぼ、暴走なんてしてません!!」
「ハハッ!宇髄とほの花はいつも仲が良いな!良いことだ!」
飲み物を取りに行っていた胡蝶が戻ってくると久しぶりの宴に気分が上がる。
鬼殺隊の柱である以上、こんなに人が集まって飯が食える日はなかなかない。
本当に偶然、非番が重なったためにできたなのだから気分が浮き立つのも仕方ないだろう。
しかし、胡蝶が到着するや否やほの花は持ってきた飲み物を受け取り、急に酌などするためにきびきびと働き出した。
おいおい、お前は何しに来たんだ。
俺の隣にだけいれば良いものを不死川にも煉獄にも酌をしに行ってしまい、ジーッとほの花の姿を目で追う。
そんな俺を見て、クスクスと笑い出したのは胡蝶。
「取られちゃいました?ふふ。」
「…取られてねぇわ。俺のだっつーの。」
「大きな子どもみたいですよ、宇髄さん。」
「うるせぇわ。放っとけ。」
確かにそれは当たっているかもしれない。
胡蝶が気を利かせて俺の隣に座るよう言ってくれたことで帰ってきたほの花を見るだけでニヤける顔を隠すのに必死だった。