第4章 実力試験は実戦で
「まぁ、実戦となれば否が応でも全力を出さなければならないと思うので今だけだと思いますが、その時本気を出せないといけないので明日からはカナヲをゴリラとでも思って本気でやってくださいね。」
ゴリラ…。
あんな可愛い顔して無理だ…。ゴリラなんてどう頑張っても見えないではないか。
「…あんな可愛い顔に武器を向けるなんて…」
「お前な…どこ気にしてんだよ。」
「宇髄さんなら向けられるんですけど!!」
「派手に失礼だぞ!てめぇ!」
いや、宇髄さんが美丈夫なのは分かってるけど、彼は物凄く恵まれた体躯をしているし、言っちゃぁ悪いがめちゃくちゃ頑丈そうだ。
それに比べて…
どう考えても折れてしまいそうな細さと可愛いお顔のお二人を見るとその場で蹲った。
「…無理ぃ…!可愛いぃ…!」
「根本的な性格の問題のようですね。どうします?うちで寝泊まりでもしてカナヲの顔に慣れるようにしますか?」
「…そう言うんじゃァねぇだろ。女に武器を向けるのが嫌なんだろ?」
宇髄さんは、流石よく分かってる。
そう、彼女の顔に傷でも作ったら未来の旦那様に申し訳が立たない。
「まぁ、とりあえず今日のところは連れて帰るわ。明日また頼むわ。」
「あれ?あなたのことだから"もう連れてこねぇ!"って言い出すかと思いましたよ。」
「そうしてぇのは山々だが、乗りかけた船だからな。最後までやってやるよ。おい、ほの花帰るぞ。」
蹲る私の首根っこを掴むと容赦なく俵のように担がれる。
視線を上げてみると、やはりしのぶさんはにこやかに手を振っていて、カナヲさんは困惑したようにお辞儀をしていた。
私って世話のかかる継子だ。
分かっているし、宇髄さんにも申し訳ないけど、戦い慣れてない自分からするとやはり女性に武器を向けなければならないことへの嫌悪感。
これを克服しなければ、女性の鬼が来た場合、鬼だからといって私は武器を向けられるのだろうか。
あれほど鬼殺隊に入りたいと思っていたのに初日で不安になっててどうするのだ。