第4章 実力試験は実戦で
私には荷が重かったかもしれないと感じたのは鍛錬が始まってすぐのこと。
しかし、何とか共同鍛錬を終えた頃には──
「思った通りのボロボロ加減だな。」
「う、宇髄さん、お迎えに来てくれてありがとうございますぅぅぅうっ!!!」
「宇髄さんお迎えご苦労様です、ほの花さん思ったよりずっと強くてびっくりしましたよ。」
鍛錬の内容的には宇髄さんのが地獄なのだが、人と手合わせをするということがいろんな意味で疲れた。
宇髄さん相手であればどれほど力を込めても受け止めてくれるけど、相手は女の子。
分からないまま気を遣っていたら先にボロボロになってしまった。
女の子に好かれることが多かった私は女の子を無碍にできない。
女の子に手をあげるなんて…
女の子に舞扇を向けるなんて…
私の中では絶対あり得ないことなのだ。
「女の子に攻撃するなんて私には無理です…!!」
「…そんなこったろうと思ったぜ。」
「そうそう、そんな感じで最初受け身しか取らなくて身兼ねて私も参戦してしまったので、そんなボロボロに…。ふふ、鬼だったら死んでますよ、ほの花さん。」
涼しい顔をしているしのぶさんに困惑気味で申し訳なさそうなカナヲさん。
そして、目の前には呆れたように私をみる宇髄さん。
「お前、絶対に重い荷物とかあの三人にも持たせねぇもんな。」
「女の子が重いもの持ったら駄目なんです…!!」
「お前も女だろうが…。」
背が高いってだけで何故か女性に好意を持たれることが多かった私は、"女性には優しくする"という固定観念が強い。
父も兄も女性に手をあげるなんて言語道断だといつも言っていた。
苦手意識もあるのだが、それは徐々に増えていったように思う。
一度本気の告白をされて抱きつかれたときに驚いて思わず振り払ってしまった。そうしたら簡単に吹っ飛んで転んでしまった女の子を鮮明に覚えている。
女の子ってこんなにか弱いんだ…
女の子には優しくしないと…
そうこうしてるうちに余計に女性に好かれるようになり、好意を向けられる女性に対して苦手意識がどんどん増えていった。
カナヲさんはそんな弱くないし、大丈夫だと分かってるのに武器を向けたことなんてないから戸惑ってしまい、今に至るのだ。