第24章 情欲は無限大※
「ふふふっ、お兄ちゃん達…面白い…!!」
宇髄さんと琥太郎くんの喧嘩のおかげ?でこはるちゃんの笑顔が取り戻せたのはとんだ副産物だといえる。
喧嘩していた本人達もその姿を見て、気まずそうに口論をやめた。
「面白いよね〜?いつも喧嘩してるんだよ。こはるちゃん、今度喧嘩してたら二人を注意してあげてね。」
「うん!分かったよ!」
なんとも言えない表情の二人を横目にその場にいたお母さんにもう一度こはるちゃんを紹介すると、彼女は照れ臭そうに頭を下げた。
「…おかあさん…ってあんまり覚えてないから…嬉しい…。」
「あらあら、ありがとう。もちろん本当のお母さんだと思ってくれて構わないわ。宜しくね。こはるちゃん。」
「おかあさん…。」
お母さんはここ最近、食堂でのお仕事があるけど、日中は琥太郎くんがいるし、たまに宇髄さんの元奥様達も顔を出してくれているようで心配はいらないだろう。
「こはる、遠慮することねぇからよ。何かあったらこの二人に言えばいい。この姉ちゃんに会いたきゃ、俺らは近くに住んでるからよ。そこまで来てくれりゃいい。琥太郎が場所は知ってるからよ。」
「うん!分かった!お兄ちゃん、ありがとう!」
宇髄さんはこはるちゃんの頭をわしゃわしゃと撫でるとお母さんを手招きしてコソコソと何かを話し出した。
きっと今後の生活のこととかを話してくれているのだろう。
「よしっ!こはる!家を案内してやるから来いよ!!」
「うん!小さいお兄ちゃん!」
「…ち、小さい…?!あのおっさんがクソデケェだけで俺は年相応なんだわ!!」
「あんだと?!人が見てねぇと思って悪口言ってんじゃねぇよ!琥太郎!」
こはるちゃんの中で大きいお兄ちゃん=宇髄さん。小さいお兄ちゃん=琥太郎くん。
だとは思うが、小さいと言われた琥太郎くんはなにかと宇髄さんと張り合うから気に入らなかったんだろう。
「うるせぇ!こはる、俺のことは琥太郎兄ちゃんと呼ぶんだ!いいな?」
「??うん!分かったー!!」
そう言うと宇髄さんにあっかんべーとして二人で奥に走って行ってしまった。
顔を引き攣らせている宇髄さんに頭を下げるお母さん。
こんな光景も何だか久しぶりに感じた。
彼らが屋敷に住んでいた頃がもう遠い昔のようだ。