第24章 情欲は無限大※
「お兄ちゃんはほの花お姉ちゃんのどこが好きになったの?」
「んー?そうだなぁ。全部。」
「えー?!ずるい!一個って言われたら?」
「んーー……強いて言うなら"笑った顔"だな。」
いや、嬉しいよ?
めちゃくちゃ嬉しいけど、目の前で繰り広げられる尋問のような愛の公開惚気。
子ども相手だが、真剣に答えてあげている宇髄さんの肩車で向かう先は彼が用意したと言うこはるちゃんの住むところ。
それなのに余程宇髄さんと話すのが楽しいのか顔を覗き込んで目を輝かせている。
「じゃあさ、じゃあさ!ほの花お姉ちゃんが他の人のこと好きになっちゃったらどうする?」
「相手の男をぶっころ、むぐっ!」
「やめなさいーーー!」
流石に子ども相手にどんな惨い言葉を言うつもりなのだと口を塞いだがそのやり取りすらキャッキャと言いながら楽しそうなこはるちゃんに此方まで目尻が下がる。
(あんなつらいことがあったのに笑えるならそれに越したことはないよね。)
宇髄さんの塞いでいた口に置かれた手を外すと不満げにこちらを見て見下ろしてきた。
「…他の男好きになるとか派手に許されねぇからな。」
「わ、わかってるって…!」
子どもが言ったことなのに本気で怒っている宇髄さんに呆れた目を向けるしかない。
そもそも今更彼以外を好きになるなんていうことはあり得ないと言うのに…。
「お姉ちゃん、すっごく綺麗だもんね!!お兄ちゃん、心配だよねー?」
「おう!こはる、お前は分かってくれんのか?将来良い女になるぜ!」
「わーい!やったー!!」
側から見たらまるで親子のようなやり取りに先日の妊娠騒動が思い起こされた。
結局は月のモノが来てしまったため、妊娠"疑惑"なだけだったが、娘だったらこんな感じで三人でお散歩に行ったりするのかなぁ?と未来を想像するとニヤけてしまう。
湿布薬が効いてきたこともあり、彼の腕から離れて歩いていたのだが、急に恋しくなってしまい、おずおずと彼の腕に手を添えた。
チラッと目が合えば、優しく笑ってくれるので顔が熱くなる。
こんな何気ない日常に幸せを感じることができるのも彼が私を愛してくれているおかげだ。