第24章 情欲は無限大※
忘れていたわけではない。
しかし、あの後すぐに月のモノが来てしまい、更に宇髄さんのところに行っていたため彼女に時間を割くことができなかったのだ。
それなのに申し訳なさをかき消してくれるほど満面の笑みで私の腰に抱きついてくるこはるちゃんに思わず笑みがこぼれた。
「良かった…、無事だったんだね。なかなか顔を見に来れなくてごめんね?」
「ううん!!しのぶお姉ちゃんから必ず来てくれるって言われてたから大丈夫だよ!」
「そっか、良かった…。」
見たところ元気そうに見えるが、心の傷は大丈夫だろうか?まだ幼い彼女が受け入れるにはあまりに凄惨な出来事のはず。
それでも前でニコニコ微笑んでいる彼女に逞しさを感じたし、何より再会できたことがとても嬉しかった。
それは彼女も同じだと思うが、此処に入ってきてからずっと隣で私の腰を掴んで離さない宇髄さんのことが気になっている様子でちらちらと見ている。
こんな大きな人を見たこともないようで少しだけ緊張しているようにも見えた。
「あ、こはるちゃん、この人はね、私の師匠なの。宇髄天元さん。大きいけど怖い人じゃないから大丈夫だよ。」
「おう!宜しくな。ほの花の師匠で"恋人"の!!宇髄天元だ!」
こんな小さな子にそこまで自己紹介する必要があっただろうかと甚だ疑問だが、満足そうな彼を咎めるわけにもいかず息を吐いた。
「よ、宜しくおねがいします。こはるです。」
「お前の住む家を準備したからよ。今から一緒に来れるか?」
「え…!わたしの…?」
こはるちゃんが信じられないと言った表情で宇髄さんを見ているが、それは私も同じ。
いつの間にそんなことをしていたのだろうか。
彼はたまに物凄く気が回って、上手く事を進めてくれる。琥太郎くんのときもそうだった。
しかし、それによってどれだけ私が助けられてきたか。
「ああ。今から連れて行ってやる。気に入らなきゃ、此処でもいいからよ。お前が決めればいい。」
こうやって逃げ道も準備してくれる宇髄さんが男らしくて度量があって、大好き。
「お前の責任は俺の責任だ」なんて言ってくれていたことを思い出すと、こんな素敵な男性が自分の恋人だと言うことに顔がにやけるのを抑えることができなかった。