第4章 実力試験は実戦で
「す、すみません…!しのぶさんもカナヲさんも美人すぎて固まってしまいました。神楽ほの花と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。」
漸く意識を取り戻した私は背筋を伸ばして頭を下げるとクスクスと笑って手を差し出されたので、握手を交わす。
「では、まずはお昼ごはんでも食べましょう。腹が減っては戦はできぬです。」
継子なのに姉妹のように似ている二人の後ろについていくと居間のようなところに美味しそうな食事が湯気を立てて置いてあった。
「ここにどうぞ」と言われたところに腰を落とすとアオイさんと言う方がお茶を淹れてくれた。
「…ところで、付かぬ事聞きますが宇髄さんとは恋仲なのですか?」
「いただきます」を言う前に突然のしのぶさんの爆弾発言に顔を引き攣らせてブンブンと頭を振って否定することしかできない。
「え、な、なにを?!宇髄さんには奥方様たちがいらっしゃるじゃないですか?!当然私はただの継子です!!」
思わず立ち上がって全力否定を試みるが、声に出してみると何故だかまた胸が締め付けられるような感覚になった。
発した言葉は間違いない事実。間違った事はいってない。それなのにまるで嘘をついているような気持ちになり、切なくなる。
「あれ?そうなんですか?うーん、とてもそんな感じには見えなかったんですけどねぇ…」
「いや!本当に!!誤解されるような態度をとっていたのであれば申し訳ありません!」
しのぶさんの言葉に自分が継子らしからぬ態度をとっていたのだろうと思い、必死に取り繕うように謝り倒すが、しのぶさんは不思議そうにこちらをみて笑っているだけ。
「いえいえ、そうではなくて…。宇髄さんがってことです。ほの花さんを大切になさってるようだったので…。」
「??えと、宇髄さんはいつも優しくして下さいますよ?」
「そうなんですねぇ…。変なこと聞いてごめんなさいね。さ、冷めないうちに食べましょう?」
求めていた答えでなかったのかそれ以上突っ込んで聞かれる事はなく、食後に行われた共同鍛錬で精魂尽き果てた私はすっかり忘れてしまっていた。