第24章 情欲は無限大※
蝶屋敷に到着すると、言った通りに宇髄さんは屋敷の前で降ろしてくれて腕に掴まらせてくれた。
「ありがとう。お世話かけてごめんね?」
「俺のせいでもあるから気にすんな。それよりも体裁気にされる方がすげぇ不満だけどよ。」
「だ、だって!宇髄さんは柱!!私は継子なのです!!!」
「はいはいはい。わかりましたよーだ。」
明らかに不貞腐れている宇髄さんはまるで子どもみたいに口を尖らせる。
そんな姿が少しだけ可愛いと思えるのは彼を愛おしいと感じているからだ。
そんな彼に少しだけ距離を縮めれば、見下ろす彼の瞳の優しさにニヤける顔を抑えられなかった。
結局、宇髄さんは大きいのに私の歩幅に合わせるようにゆっくりと歩いてくれて、約束の時間は少しだけ過ぎてしまったけど、私の状態を見てしのぶさんに怒られることはなかった。
「あらあら、昼間からお熱いことで。ほの花さん、どうしたんです…?って聞くまでも無いですね。お大事に。」
にこやかにそう言われてしまい、顔は真っ赤に染まってしまっているだろう。
しかし、隣にいた宇髄さんがため息を吐くとしのぶさんに向かって苦言を呈し始めたので私は慌てふためくことになった。
「お前のせいでもあるんだぜ?胡蝶。俺はコイツには黙ってろって言ったのによ。」
「ち、ちが!あの、手紙が落ちてて!それを勝手に私が読んだからで、しのぶさんは悪くない…?!!」
「へぇ、どこに落ちてたわけ?胡蝶はそんな鈍臭いことするんだなぁ?」
「や、え、と…、あの、お、落としたと言うか…奪い取ったというか…いや、えと…やっぱり落ちてた…?」
「……もうやめとけ。お前に隠し事は無理だ。」
「あはははっ!」と笑い出すしのぶさんに今度は私と宇髄さんが揃って固まると彼女の笑いが止まるまでその場で顔を引き攣らせながら怒りを抑えている彼を必死に止めた。
「笑い事じゃねぇわ!!」
「はぁー!久しぶりにこんなに笑いました。ありがとうございます。そもそも宇髄さんだってほの花さんがただ大人しく待ってるだなんて本気で思っていたなら彼女のこと全然わかっていないんじゃないですか?」
言葉に詰まり、震える宇髄さんにこれ以上は喧嘩になると思って必死に彼に前から抱きついてトントンと背中を撫でた。