第24章 情欲は無限大※
「あー、そこそこ!ふぇー、気持ちいいー。」
「ババアみてぇじゃん。」
「ん?なんか言った?」
「何も言ってないです!!さ、胡蝶ンとこ行くぜ!俺が連れて行ってやるからな!ほの花!」
屋敷に帰った翌日、未だ腰痛に苦しむ私は宇髄さんに湿布薬を貼ってもらった。
もちろん帰ってからも少しもその時の疲労を感じさせない…いや、感じさせないというよりもう既に無いんだと思うけど、頗る元気な彼は帰ってその日に任務に行っていて、顔を引き攣らせるしかなかった。
こちとらまだ腰と股関節に負債が残っていて、恨めしく見ることしかできない。
何とか歩けるようにはなってるが、本来ならば杖での歩行が望ましいと感じるほどで不本意だが、歩くときは宇髄さんの腕に捕まるか、屋敷の中であれば彼の元奥様達に助けてもらっている。
「しのぶさんのとこに何しに行くんだっけ??」
「ああ、ほの花に会わせたい奴がいるんだとよ。」
「会わせたい人?そうなんだ〜。誰だろ。楽しみだなぁ。」
腰に貼った湿布薬は即効性の痛み止めが配合されていて、すぐに痛みは減少するが、腰の重さは変わらない。
「ほら、ほの花掴まれよ。」
そう言って抱き上げようとしてくれる宇髄さんだけど、他の柱の人のところに行くのに"情交のしすぎで腰が痛い"なんて事実を知られるのが小っ恥ずかしくて仕方ない。
「あの一緒に歩いて行こ?流石に体裁悪いから…。」
「あ?お前は俺の継子だけど婚約者だって周知の事実なんだから気にする必要ねぇって!」
「そ、それでも…し、シすぎで腰痛なんて…は、恥ずかしすぎるよ…!お散歩しがてら歩いて行こうよ…!」
しかし、私の願いも虚しく膝の裏に手を添えて引き上げられるとあっという間に彼の腕の中に収まってしまい、目の前には美丈夫な顔。
思わずギョッとして距離を取るが呆れたようにため息を吐かれる。
「それなら途中までこのまま行って、蝶屋敷入る前に降ろしてやっから。早くいかねぇと時間に間に合わねぇんだわ。」
約束の時間は午後一時なのにもう既に十五分前で彼の言い分が正しいことに唇を噛み締めるとコクンと頷いた。
遠慮がちに彼の肩に掴まると、縁側から外に出て勢いよく屋根の上に飛び上がり、風を切って目的地へと急いだ。