第24章 情欲は無限大※
一体、今は何時なのか。何日なのか。
それすれ分からない状態の俺は目が覚めると放心状態に陥った。
理由は簡単。
「……酷ぇ…。」
それは部屋の惨状と自分達の状態が目も当てられないような状況だってからだ。
部屋に充満する精液の匂い。
布団は乱れ、掛け布団は散らばっている。
自分達の寝ていた布団はほの花の潮でぐちょぐちょに濡れていて冷たい。
スヤスヤと眠るほの花はと言うと…精液がまみれているし、腕には掴んだ痕が残ってしまっていた。
(…よっぽど強い力で掴んだんだな…、悪ぃことした。)
所有印はそこまで多くないのだけが、唯一の安心材料。今回は嫉妬に狂っていたわけではないのでそれを多く付けずに済んだのだろう。
俺はほの花を起こさないように体を起こすと自分の体の軽さに驚いた。
どうやらすっかり血鬼術は抜けているらしくて口角を上げた。
そのまま立ち上がって押し入れを開けると新しい布団が数枚入って居たので、綺麗な状態の畳を探して其処にそれを敷いた。
家主に風呂に湯を溜めてもらうよう依頼しに行くと「湧いていますよ」と用意周到なことを言われて驚愕して、顔を引き攣らせた。
(…ど、どこかで見てたんじゃねぇだろうな?)
しかし、気にしても仕方のないことだ。済んだことは変えられないのだから。
俺はほの花に敷布を絡ませると抱き上げて風呂場に向かった。
案の定、風呂で体を洗ってやっても、湯船に浸かっても全く起きないほの花に彼女の疲労度が分かってしまい、申し訳なさが募る。
「…ごめん、な?…あと、ありがとな。」
こんなになるまで自分の情欲に付き合ってくれた。体力の限界まで付き合わせたのに、記憶を手繰り寄せてもほの花が俺を責めたことはなかった。
苦悶の表情を浮かべながらも俺を受け入れようとしてくれた彼女には感謝しかない。
しっかり体を温めてやり、部屋に戻るとあれほどの惨状だった部屋は家主によって綺麗になっていて、流石の俺も恥ずかしくなった。
あれを見る限りナニをしまくっていたのか分かるに決まってるし、精液の匂いも充満していた。
(…この藤の家はもう使えねぇ…。)
羞恥心などあまり感じたこともないのに顔に熱が溜まると綺麗な布団の上にほの花を横たえたのだった。