第24章 情欲は無限大※
──胡蝶へ
鬼は無事に殲滅したが、最期自爆した鬼の血鬼術を喰らって、催淫作用により暫く帰れそうにない。近くの藤の家で治まるのを待ってから帰ることにする。
悪いが、ほの花に適当に誤魔化しておいてくれ。今会えば傷つける。宜しく頼む。
宇髄天元──
部下を庇ったなんて一言も書いてないけど、しのぶさんの言う通りそれは間違いないだろう。
宇髄さんは冷静沈着だし、任務において気を抜くなんてことはない。
部下の人を庇って自分が血鬼術を食らったのは間違いないとして…
「……適当に誤魔化しておいてくれ?ですって?」
適当に誤魔化しておいてくれって酷くない?
私のこと適当に言えばそれを信じて大人しく待っているとでも思ったわけ?
笑わせてくれるわ!!
「…ふふ、馬鹿なの?天元ったら…。」
私は怒りで笑いが込み上げてきた。
怒りで笑いが込み上げるなんてことは初めてのこと。
自分の思う通りになると思ったら大間違いだ。
私が言って、薬を処方して早く治めてあげたほうが良いに決まってるじゃない!
「私の薬師としての力を見くびってるのかな?もう!!」
私は持っていた手紙を握りしめると、しのぶさんのところに走り出した。
まずは任務があった場所の近くの藤の家の場所を教えてもらわないと。
しのぶさんの自室の前まで猛烈な速度で到着すると声をかけた。
「しのぶさぁーーん!!!」
中から「どうぞ」と言う声が聞こえると、襖を勢いよく開けた。
怒りのあまり怖い顔をしてしのぶさんに詰め寄ったことで顔を引き攣らせてしまっている。
「場所ですね…?分かりましたよ。紙に書いておきました。」
私が此処に来ることを予見していたようで紙をぴらぴらとこちらに見せてくれた。
「私が必ずや治して帰ってきますので!!!薬師の名にかけて!!」
「……頑張って下さい(そのうち気付くと思うから放っておきましょう。)」
私はしのぶさんから紙を受け取ると、書かれている場所を確認した。確かに普通の人が歩けば一日はかかるだろうなぁ。
昼に呼んでくれてよかった。
今から行けば夜中には到着できるだろう。
「しのぶさん、行ってきます!!何かあれば鎹鴉を飛ばします!」
にこやかに手を振ってくれるしのぶさんに別れを告げて私は薬箱を担いで目的地に急いだ。