第24章 情欲は無限大※
柱の任務は多岐に渡る。宇髄さんは遠方の任務も多いので一週間ほど家を空けることもたまにある。
だが、虹丸くんは片道一日と言っていたのに、あれから早三日。
すっかり月のモノも終わってしまい、体が宇髄さんを求めている。
「早く帰ってこないかなぁ…。」
思わず声に出てしまうほど彼が恋しくなってしまっている私は性欲ダダ漏れのはしたない女以外の何者でもない。
あんな別れ方をした分、月のモノが終わった瞬間やっと彼に抱いてもらえる!と浮き立つ私はまさに変態だ。
悶々とした気持ちを消化できないまま、なんとか薬を作り終えると突然、しのぶさんのところの鎹鴉の艶が部屋の中に入ってきた。
「ほの花ーーーッ!蝶屋敷へーーッ!蟲柱ヨリーーッ!!至急来イトノコトーーー!!」
「えーー?しのぶさんが?何だろう…?こんな昼間に。」
夜であれば応急処置のため応援に行くことはあるけど、この時間の召集は初めてのこと。しかも鎹鴉を飛ばすということはまぁまぁ緊急を要するということ。
救護依頼ではないものの、念のために薬箱を持つと、正宗に「出かけてくる」と声をかけて蝶屋敷へと急ぐ。
早く用事を済ませて、早く帰れば宇髄さんが帰っているかもしれない。
そう考えると気持ちも自然と上向きになり、ニヤける顔を抑えることもできないので、側から見たらそれはそれは頭のおかしい女に見えることだろう。
しかし、この時の私は本当に有頂天だったと思う。
宇髄さんがどんな状況に置かれているかを考えることもせずにただただ自分の欲が頭を埋め尽くしていた。
だから蝶屋敷に着き、しのぶさんと鉢合わせた時に彼女の顔が険しい表情だったことでやっと頭が冷えていくのが分かった。
「…ほの花さん。こちらへ。」
「え、…は、はい。」
私はしのぶさんに手を引かれて、誰もいない診療室まで連れて来られると彼女の言葉を待っている。
神妙な面持ちで私の顔をチラチラと見て、言おうどうかを迷っているような…そんな雰囲気。
何のことなのか分からないまま数分が経つと、ゆっくりと私と向き合い、手を握られた。
「…落ち着いて聞いてください。」
その言葉だけで何かよからぬことを言われるのだと簡単に想像がついてしまう。
そして、それが宇髄さんのことなのでは無いかということまで、何となく感じてしまった。