第24章 情欲は無限大※
「おい、顔を上げろ。別に取って食いやしねぇよ。」
「ほ、本当に、申し訳、ございませんでした…!」
震えながら頭を下げ続けるその男にどうしたもんかと隣に置いてあった椅子に腰掛けるとため息を吐いた。
「…謝るくらいなら俺の女を口説くのやめてくんね?」
「その…口説く、というか…神楽さんは後輩なのに特別扱いされているのが悔しくて…。で、でも…初めて見た彼女があまりに綺麗だったので…つい、好食女って言ってしまいました。決して音柱様との仲を裂こうとか…そう言うつもりでは一切ありません!!」
そいつの言葉を最後まで口を挟まず聞いてやれば、時透が言っていたことが若干感じ方は違うが、ほの花を蔑んだことには変わりないらしい。
「はぁ?何でアイツが好食女なんだよ。すっげぇ純粋無垢なんだけど?」
「す、すみません…!その、体つきが女性らしくて色っぽかったので…、音柱様にも色目を使って取り入ったのかと思ってしまって…。でも、今は誤解だって分かってます!すみません!」
ほらな。だからアイツの体が厭らしい体型になってたことを危惧してたんだわ。
こう言うやつがいるから。
ほの花のことをちゃんと知ってればアイツがどれだけ純粋無垢で初心な女か分かるが、初見で見た奴は百戦錬磨の高嶺の花のように感じる奴が多いだろう。
性格があんな感じじゃなくて、もっと開けっ広げならば男を取っ替え引っ替えすることなんて簡単だろう。
そんなことさせねぇし、できねぇ奴だけど。
「色目ねぇ………。お前馬鹿?こっちがどれだけ色目使われてぇと思ってるか…!いつになっても生娘みたいな反応しかしねぇアイツが色目なんて使えるわけねぇだろうが!!!阿呆かぁああっ!!!」
「ヒィィィィィっ!!す、すいません、すいません。申し訳ありません…!!」
「次、アイツのことを厭らしい目で見たらどんな理由があろうと家燃やすからな。他の奴らにも言っておけ。いいか、俺の女を傷つけたら音柱が黙っちゃいないと全隊士に伝わるようにしろ。それで今回はチャラにしてやる。わかったか?!」
震えながら「はい!!」と言って頭を下げ続ける男に言いたいことは言えたのでスッキリして早々に部屋を後にする。俺があそこにいても精神的に病ませるだけなのは理解しているから。