第24章 情欲は無限大※
お前の大事な弟からの報告を無駄にしないため、師匠としての責任を果たしに行く。
せっかくアイツが教えてくれたと言うのにそのまま野放しにはできねぇ話だ。
月経痛のため数日間の静養を要すほの花を部屋に置いたまま俺が向かうのは蝶屋敷。野暮用が無ければ共に連れてきてもよかったのだが、アイツが来たんじゃ話の本筋がズレる可能性しかない。
クソ優しいアイツを恋人としてだけでなく、継子としても守ってやるのは師匠としての役目でもある。
連れて行ったんじゃ、どうせ「宇髄さん」って呼ばれるわけだし、つまんねぇから連れていかねぇのもあるけど。
隊服を身につけると、鬼殺隊音柱として職務に当たる覚悟ができる。今回は鬼狩りじゃねぇけど、お館様から与えられた職務を全うするのみ。
俺はほの花に「行ってくる」と伝えると蝶屋敷に向かった。
──蝶屋敷
「…で?名前も知らない隊士を探せっていうんですか?藪から棒ですね。」
「うちのほの花を口説いた疑惑があるからよ。知らね?時透はほの花が応急処置したって言ってた。」
蝶屋敷に到着すると胡蝶をとっ捕まえて事の次第を話し、目当ての隊士がいるか聞いている。
しかしながら手がかりはほの花が手当てをしたと言うことだけ。
もちろんそれだけで見つけるのは至難の業だ。
「あのですね、ほの花さんがあの日、応急処置をしたのは五人もいるんですよ?」
「そんなにいんの?!せいぜい二人くらいかと思ってたぜ。アイツ、流石俺の女だな。」
「感心する余裕があるならご自分で探したらどうです?私は忙しいんです。」
「えー?仕方ねぇか。派手に面倒だが、五人の病室教えろ。手当たり次第聞いていくわ。」
そう言うとため息を吐きながらも病室を教えてくれたので、屋敷の中に入っていく。
軽傷四人は同じ部屋で、残り一人が重傷だったらしく一人部屋らしい。
一人ずつの部屋じゃなかったのは有り難い。
ほの花に聞いても良かったのだが、どうせ俺が此処に来ることを言ったら教えてくれないだろうから仕方ない。
骨は折れるがこうするしか方法がなかったのだ。
自分が此処まで面倒なことをするのはほの花以外いない。
どこまでも惚れた女に弱いということだ。