第23章 早とちりも程々に※
「じゃあ、あの吐気なんだったんだよ。風邪でもひいてたのか?」
漸く妊娠疑惑が晴れたかと思いきや、一難去ってまた一難だ。
それはそうだ。此処までくればそこが気になるのは仕方ないこと。
「…あは、あはは…ちょっと、食べ過ぎでね…。」
「食べ過ぎぃ?そんな食ってたか?吐くほどメシ食ってねぇだろ。」
そうです。吐くほどの量の"食事"はしてません。
あー、これはもう怒られるの確定じゃないのか?でも、言わなきゃ言わないでおかしなことに…。
「…あのね、甘味の食べ放題に毎週行ってたの。」
「………はぁ?!何だ、それ。聞いてねぇぞ?って、あー!まさか、お前甘露寺とだろ?!毎週毎週よく出かけんなと思ってたら甘味食い漁って来ただと?」
「だ、だってごはんだけだとなかなか太らなくて…!だから蜜璃ちゃんに付き合ってもらって食べ放題に行ってたの。でも、ほら、おかげで太ったし、お乳もちょっと大きくなったでしょ?えへへ。」
"どうだ、すごいだろ!"と言わんばかりに優越感に浸っていると急にくるりと向きを変えられて前からまじまじと体を見られる。
「乳は余計だわ。太るだけで良かったのによ、余計なもんこさえやがって…。だから男が寄ってくるんだぞ?もう甘味食べ放題は禁止だ。」
そう言うと、私の顔を上に向けて口づけをしてくれたのだけど、発言の内容に驚愕せざるを得ない。
え、だって普通男の人って巨乳が好きなんじゃ?昨日だって蜜事の最中にお乳が大きくなったって言ってくれたのに、突然の手のひら返しに不満が募る。
「え、天元、巨乳が好きなんじゃないの?」
「はぁ?いつ俺がそんなこと言ったよ?」
「だ、だって元奥様達、全員巨乳じゃん!」
「あのな、アイツらの乳がデカかろうが小さかろうが俺は知らねぇっつーの!親が選んだ嫁だぞ?!俺の好みで選んだわけじゃねぇの!」
そ、そんなぁ…。
何のためにあんな吐くほど食べたのか。
てっきり宇髄さんもあんな体型の女性が好きなんだって思ったから毎日たくさん食べて、お肉を胸に持ってくるように寄せたり上げたりしてたのに。
あまりの絶望感に目の前にあった逞ましい胸に顔を埋めて、ため息を吐いた。