第23章 早とちりも程々に※
やばいやばいやばい…
しのぶさんにまでそんな風に言われてしまってる以上、私の妊娠説がこの二人の中で出来上がっているのだろう。
どうしよう…。確かに月のモノはまだ来てないけど想定内だし、二人に言ってないけど、実は自分で試しに作って経口避妊薬を飲んでいることをどう言えばいいのだろうか…?
その上、私のあの気持ち悪さはただの食べ過ぎだし、微熱はよく考えたら恐らく私は月のモノが来る前、いつもアレくらいの体温なのだと思う。だから怠くもないし、"いつものこと"かのように体が受け入れていたから。
あれほど悶々としていた欲望が急速に冷えていき、今度は冷や汗に見舞われる。大体微熱は別として、悪阻が来るには早すぎるとは思うけど、しのぶさんは詳しい私の月経事情は知らないし、宇髄さんだって男性なんだから分かる筈がない。
「体大丈夫か?腹痛くねぇ?」
「…え?!あ、う、うん。大丈夫。」
「なぁ、聞いてもいいか?」
突然、真剣な声色でそんな風に問われれば、こちらもちゃんと向き合わねばならない。
彼と目を合わせると一度だけ額に口づけをしてくれて、不安そうに瞳が揺れた。
「もし…ややがデキてたらよ。後悔するか?」
「……何で?」
宇髄さんらしくない自信なさげな顔をしていて、その姿はまるで捨てられた仔犬のよう。
ころのすけですらそんな顔してたことない。
その言葉の意味が分からない私がすぐにそう問えば、眉を顰めて口を尖らせる宇髄さんがそこにいて益々首を傾げた。
「何でって…!時期が…その、微妙っつーか、まだちゃんと結婚してねぇのによ。お前の両親に順番が逆だろ…ってなっちまうかなって。」
「……えー?別に宇髄さんが困らなければいいと思うんだけど…。」
「な!?俺が困るわけねぇだろ!!死ぬほどほの花を愛してんのに!!お前とのややなら早く欲しいとすら思うけどよ。了承もなく孕ませたんだったら…悪ぃなって思って。」
痛いほど伝わってくる宇髄さんの気持ち。
私も同じ気持ちだよ。
"今じゃない"。
でも、その先の未来に自分がいることが分かるだけでも嬉しい。
きっと妊娠はしてないと思うけど、彼が私とのことを真剣に考えてくれていたことが知れただけでも私は幸せを感じるよ。