第23章 早とちりも程々に※
──今日はシないの?
そりゃあそうだ。此処までシておいて、挿入しないなんて今までの俺からしたら考えられない。
いや、本音を言えばシたいのは山々だ。
ほの花の顔を見れば頬を染めて、色っぽい顔をして見つめてくる。
そんな顔をされて俺が我慢できる筈がない。…いつもなら。
それなのにムクムクと勝手に再び硬く滾っていく肉棒に心の中で舌打ちをした。
(…おい!今は大人しくしとけよな…。)
しどろもどろになりながら何も言えない俺を見てほの花がおかしいと思うのは当たり前だ。
「…何でシてくれないの?私のこと飽きちゃった…?」
そうやって寂しそうに笑うものだからそこだけは「違ぇって!」と声を大にして伝えるが否定をしたところで理由を聞かないと納得ができないのは同じ立場であれば俺とて同じ。
「…じゃあ、何で?私…天元に抱かれたいよ。」
「…っ、ほの花」
あまりに可愛いことを言うほの花に思わず口付けて組み敷いてしまった。
その先をスることはできないのに本能が勝手にそうさせた。
理性を総動員させて唇を離すとほの花に本当のことを話そうと体を起こした。
「…天元?」
「悪ぃ、ほの花。今日は…っつーか、暫く抱けねぇかもしれない。」
「……どうして?」
「…お前、妊娠してねぇか?」
「………は?!え?!」
ずっとひた隠しにしていた心の内を伝えると鳩が豆鉄砲を食ったように驚いて固まっているほの花。
そして、何かをブツブツ数え出して首を傾げている。
「…遅れてる、わけじゃないけど…何でそう思ったの?」
「つい最近、微熱と吐気があったろ。しかも食欲もすげぇじゃん。症状を言った時、胡蝶から気をつけてやってくれって言われたんだ。子がいるかも知れねぇのに俺のをぶち込むわけにいかねぇだろ?本当は挿れてぇけどよ。」
「…あー…、な、なるほど…。うーん。た、多分違うと思うけど、天元の気持ちはわかった。ありがとう。大切にしてくれて。大好き。」
そうやって柔らかく笑うほの花を腕の中に収めるとゆっくりと横になる。
本当なら抱きたい。
抱きたくてたまらないけど、ほの花と家族になれるなんて未来を想像するとニヤける口元を抑えることができなかった。