第4章 実力試験は実戦で
宇髄さんの辛辣な言葉を受けても、しのぶさんの表情はにこやかなまま。
それに対して宇髄さんは"不機嫌です!!"と顔に書いてある。
「ほの花さんから聞きました。陰陽師一族の件。まぁ、無理矢理聞き出したんですけど。だったら正式に鬼殺隊となった方がいいと思いますよ。」
「はぁ?おい胡蝶、それはほの花の機密事項だ。他言すんじゃねぇぞ。俺はお館様からほの花を鍛えろと言われただけで、鬼殺隊にしろとは命令を受けてない。」
「ですが、鬼殺隊の柱である以上、最終選別を受けたいという継子がいるならば受けさせるのが適当かと考えます。」
「ちょっと待て…、おいおい、ほの花お前まさか受けたいのか?」
信じられないという表情で見下ろされてしまうといつもの居心地良さは途端に姿を変える。今、わたしはここから逃げ出したい。
「え、と…、はい。その、そんな試験があるの知らなかったので…受けられるなら受けたい、です。」
「お遊びじゃねぇんだぞ?死ぬかもしれねぇ試験だ。」
「…分かってます、しのぶさんから詳しく聞きました。」
「…俺は助けに行くことはできねぇ。」
「そもそも…!師匠である宇髄さんにわたしは頼りすぎていたと思いまして…、だから…もっと頼りになる継子になりたいんです。」
わたしの覚悟が本物だと分かってくれたのか、その後言葉を続けることなく黙ったまま見つめてくる宇髄さん。
言いたいことは分かる。
お前なんかすぐ死ぬのがオチだとか思っているのかもしれない。
でも、宇髄さんがしっかりと鍛錬してくれた成果をちゃんと示したいと言う気持ちもあった。
毎日仕事の合間にわたしのために時間を割いてくれる彼に感謝しかないから。
そんな彼の継子として誰からも後ろ指差されないようになりたい。
まぁ、鴉が欲しいのもあるけど。