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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第4章 病魔 前編


(私が本好きとわかって嬉しそうだったね)

そのさまをひもとくと、錆ついた心にわずかに温かさがしみ込んでいく。




許されざると知りつつ、それでも。




(忘れないから。だから、私————。)

自分の掌を見下ろす。本当は怖くてたまらないけれど………。




かぶりを振って散らしていると、叩扉の音をとらえた。




「主様、お手紙が届いております。———入ってもよろしいでしょうか」




「どうぞ」




「失礼いたします」

入ってきたのはベリアンだった。

封筒をのせた銀のトレイを携え、静かに入室してくる。



「主様、こちらを御確認いただけますか」


「うん」
受けとると、ぱら……と手紙を広げた。



それは「公式依頼書」と表題されていた。

読み進め、染みのように広がる戸惑い。



「……『四貴族家の同盟締結に同席せよ』……?」

思わず口にすると、ベリアンがその唇をひらいた。

穏やかな瞳で、みずからの目の前にいるあるじをみつめている。



「グロバナー家の当主様も、貴女にご注目なさっているのでしょう」

戸惑いに瞳をゆらめかせていると、安心させるように微笑んだ。
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