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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第4章 病魔【P128 ~ 🫖*】


『っく………あはははははっ』

突如として嗤いだす。この上なく滑稽だと云うように。



「…………!?」

思わず圧倒されると、そのさまにさえ嘲笑した。

ひゅ……!と空を切り裂いて向けた刃の切っ先にも、彼は顔色ひとつ変えなかった。




変わらず可笑しくてたまらないと嗤いつづけている。




『騎士気取りか。………どうやらお前は、彼女のことを何も知らないようだ』

不可解な言葉に心がざらつく。

探るような眼を向けても、彼はニヤニヤと嘲るだけで………。




「……どういう意味だ」

その鼻先に刃を向けても彼は嗤いつづける。

そして声を止めた彼は、まだ笑いの余韻を滲ませたまま呟いた。



『そのままの意味だが? その内、嫌でも思い知ることになるさ。

………彼女の全てを、ね』

それからふいにその紅玉に宿すひかりが変貌る。



怒りと憤りと、そして煮え立つような憎しみを映して、

ボスキの視線をはねつけた。




『そんなに俺の目的が知りたいなら、彼女ひとりをつれて来ればいい。


彼女にとってもそのほうが本望だろう………今だって、視えぬ鎖に苦しんでいる筈だしね』


見透かしたような口ぶりに混沌が満ちる。

ざわりとする胸の内を抱いたまま、ボスキは再度唇をひらいた。




「そんなのわからねえだろう」

反射的に否定したが、彼は口角を吊り上げた。

まるで貴族たちの冷えた視線に晒されている時のように感じて、染みのように広がる不快感。




ニヤニヤと嘲るような笑みを浮かべたまま、彼は告げる。




『先刻の俺の言葉の意味を、よく考えておくといい。

………では———また会おう、悪魔執事くん?』




「!」

驚きに冴えた瞳を小さく笑って、その姿が黒煙に包まれる。

そして、其れが風に攫われた頃には。
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