第4章 病魔 前編
そのさまを合図にベリアンが語りはじめた。
「おふたりとも、主様に関することで、なにか気になることはありませんか」
コポポ……と紅茶をカップに注ぎながら切り出す。
「気になること……かい?」
受け取りながら問いを重ねると、ベリアンはみずからの魔導服の内ポケットを探った。
「こちらを御覧ください」
先刻の羊皮紙を広げる。
どの悪魔執事の筆跡とも異なる書きしるし方に、ふたりが顔色を変える。
「……これは」
「実はおふたりをお呼びする前、
この室内は荒らされていて、その中心にこの羊皮紙が落ちていたのです」
「「!」」
戸惑いに曇っていたそれぞれの瞳が澄みわたる。彼は重々しくうなずいた。