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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第3章 捻れた現実


「こっちを見てください」
微笑いかけるも、拒まれてしまう。



「私をからかって遊ぶ執事なんてみないよ」

拗ねたようにつぶやく様もまた素敵で、知らず手を伸ばす。

頬を包むてのひらは、温かくも優しかった。



「ラムリ……?」

胸がさざめく。初めて目にする大人びたその笑みに、ヴァリスの胸がざらついた。



「ボクをみててよ……ヴァリス様」

柔らかく微笑む。

ふれた温もりに思わず身構えてしまっていると、今度はアモンに囚われた。



「もぉ……。

アンタだって人のこと言えないじゃないっすか」

さら……と髪を耳にかけ、そこに手折った薔薇を挿す。

小ぶりの——されど見事な輪を連ねる花に、その唇が満足げに綻んだ。



「やっぱり。よく似合うっすよ」

華やかなる甘い香りに、密やかに微笑むヴァリス。

その笑顔をみつめる視線に、憧憬の色が混ざりはじめたことに気づかぬまま。
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