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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第3章 捻れた現実


「ねぇ……主様、」

その言葉に、こちらを見るヴァリス。

心まで見透かせそうに、穢れなき深青の瞳に囚われそうになった。



「なあに?」

首を傾げた途端、さら……と滑らかに流れる髪。

穏やかな瞳でみつめる眼差しに、アモンも笑みを返した。



「昨日の夜、あなたが歌っていたのって……。」

その言葉に唇が密やかな微笑を描く。



「あれは、私の家に伝わる子守唄よ」




「子守唄……すか?」

自動的にくり返すと、「うん」とその笑みが深まった。




「小さい頃、私……ね、あの詩を聴いて眠っていたの。


迷った時、気持ちの整理をしたい時に、歌うようにしているよ」


青い瞳が、懐かしむように煌めいている。

その光にふたりが魅せられていることに気づかずに、ただ微笑っていた。



「主様ぁ、ボクも聴きたい!」

無邪気な様子でねだるラムリに、「いいよ」と微笑みかける。



すぅ……と息を吸い、声に載せる。

それと同時に、その瞳が切なげにゆらめいた。
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