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焦がれた恋情☩こころ☩に蜂蜜を【あくねこ長編】

第2章 主人として


「あの……良かったら、一緒に食べない?」
微笑んで提案すると、瞠目する四組の瞳。



「っ……良いのか?」
バスティンの言葉に、「うん」と笑みを深めた。



「勿論だよ。それに……食事は皆で食べたほうが楽しいでしょ?」



「そ、それは………、」
わずかに躊躇いをみせるベリアンに、フルーレが笑いかける。



「ベリアンさん。

主様がこう仰ってくださっているんですし、断るほうが失礼ですよ」



「そ、そうですね……。——では、失礼いたします」

優雅に一礼して腰を下ろす。他の三人もそれに続いた。



「主様、お食事を終えられましたら私とともに。

………この屋敷内をご案内いたします」

ベリアンの言葉に、「わかった」と唇が密やかな微笑を描く。




パンをちぎりながら、そっと彼らを観察した。




「ロノくん、また料理の腕を上げられましたね」
ベリアンの言葉に、彼は照れくさそうに鼻の下をさする。



「ありがとうございます、ベリアンさん!」
にっと笑っていると、すぐにフルーレの叱咤が飛んでくる。



「ロノ、食事中に鼻を触らないでよ」



『主様もおいでなんだよ?』

頬を膨らませて叱る彼に、「大丈夫よ」と慌てて手を振った。



「賑やかで、とても楽しい。だから……気を使わないで」

告げながら、その瞳が優しく和む。その春のような眼差しに惹き込まれた。



「主様、優しいですね」

と、再びさすりかけた指先に、「ロノ、」と咎めるように名を呼ぶフルーレ。



「わかってるって」

苦笑して見せる。

そんな他愛のないやり取りに、心が解けていく。
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