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呪術回戦ー八月の忌み子ー

第2章 寮の怪異事件




『お兄ちゃん!やっときてくれた!』
『、久しぶり』

小さい時の夢。


『お兄ちゃん、山を降りた世界の話、聞かせて?』
『んー、のお母さんに止められてるからなぁ』


私が駄々を捏ねて、困ったように垂れ下がるあの人の眉毛。


『少しだけだよ?』


そう言っていたずらに笑うあの人の細くなった瞳。



『これが僕の昔の友達。後輩たち。』
『この人、楽しそうな人だね』
『それは、僕の親友だった人だ。今はケンカしちゃって、もう何年も話してないけど』
『そっかぁ。仲直りできるといいね』
『…そうだねぇ』


そう言って、悲しそうに笑ったあの人の顔。



『僕がいつか、君が降りて来れるようにしてあげる。』


その言葉にワクワクして眠れなくなったこと。



ーーーーでも。


『お母さん、っ、おか、』

『ーーーーー』





“大好きな人を殺した君の居場所なんてどこにもないよ”








「はぁ、っはぁっ、」




隣を見ると、床の布団で伏黒くんが眠っていた。
外はまだまだ暗い。



あの人が、あんなこと言うはずないのに、




(……ほんとうに?)




頭を振って、嫌な思考を飛ばそうとする。



『朝まで、そばにいる、何も考えずに、目を瞑ってたらいい』



(……本当に、それでいいの?
今度は、伏黒くんが、)





そう思ったら、この場にいれるはずもなかった。
夜の闇にまぎれるように
静かに。

私は部屋を後にした。



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