第2章 寮の怪異事件
「まぁ、はみんなと仲良くできそうだね。僕はちょっと出張があるから、明後日くらいから、色々始めよう」
そう言って、五条先生は私の頭を乱雑に撫でた。ふにゃっと髪が乱れて、少し照れる。
色々って…、
そのまま、先生は手を振ってどこかへ行ってしまった。
そして、ご飯の時間はゆっくりと進んでいった。
何年ぶりかの、人との食事。
誰かの声、湯気の匂い、あたたかい味──いろんなものが胸の奥に染み込んで、なんだか、胸が詰まりそうになるほど美味しかった。
「ねえ」
ふいに、乙骨さんが言った。
「そういえばさ……ちゃん、ここにいるってことは呪術師、なんだよね。」
その言葉に私は一瞬、手が止まった。
「憂太、何言ってんだ、この子、あのかぐや姫だぞ?」
「しゃけしゃけ」
パンダさんがそう付け加えた。
「か、かぐや姫ってそんなに有名…?」
「お前も憂太と同じか!有名も何も、最も有名な“呪詛師“の一人だよ」
「バカ!」
「え、あ。」
口を滑らせたパンダを真希が叩く。
パンダさんはかぐや姫をジュソシと呼んだ。
その言葉の意味を知りたかったけれど、急に流れた気まずい空気に私は言葉を放つのをやめた。