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カリスマ達の愛は重い【カリスマ】

第4章 ファーストキス


「どうしました?」
「あー……いえ、このゲームこのあいだテラさんがやったなと思いまして」
「テラさんが? どんなゲームなんですか?」
「乙女ゲーム……あ、恋愛ゲームです」


 理解さんはゲームとかやらなさそうだから、分かりやすい言い方に改める。


「れ、れれれ恋愛!?」


 理解さん、なんか声がうわずってる?


「天音さん見損ないました。あなたにとって恋愛はゲームだったんですね」
「は?」
「恋愛がゲームだなんて軽薄にもほどがあります」
「理解さん?」


 なんだか雲行きが怪しい。ただの恋愛ゲームなんだけど。


「そんないかがわしい目的にしようしているとは思いませんでした。これは没収です」


 理解さんの手が私のゲーム機に伸びてくる。


「ちょ、やめてくださいよ。これは私の命ですよ!」


 ゲーム機を取られまいと必死に抵抗する私。


「いいから渡しなさい。このままでは天音さんは不健全野花子になってしまいます」
「出た! 謎の名前シリーズ! って、言ってる場合じゃない! 理解さん放してしください!」


 ソファの上で繰り広げられる小さな攻防。でも私は必死だった。
 一瞬の隙。
 そのせいで私の手からゲームが離れる。


「あ……」


 ピン、とイヤホンが伸びる。
 そのまま座っていればイヤホンが耳から取れて、ただそれだけで済んだのに。
 私はイヤホンが外れないように、イヤホンが引っ張る力のまま体を浮かせた。
 イヤホンのその先に何があるのか。

 ゲーム機本体と、それを取り上げた理解さんだ。

 私からゲーム機を取ることに集中していた理解さんはソファの上に背中から倒れこむ。
 ゲーム機を掲げる姿勢で倒れている理解さんの上に、私も重なるように倒れて――。
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