第5章 寝落ち
「ん……?」
朝の陽ざしが私の顔にかかっていた。そのまぶしさにゆっくりと目を開ける。
驚いて身を起こす。
「まさかのループオチ!?」
「わっ、天音さん……いきなり大きな声を出さないでください。今起こそうと思ったところですが、まさかこんなところで寝ていたんですか? いけませんね。どういうつもりですか? こんなところで朝まで眠るなんて不良以外のなにものでもない」
「え、理解さん……? 私のことが分かるんですか?」
「何を言っているんですか?」
どうしよう。理解さんがちゃんと私のことを認識できている。
それでもまだ信用できなくて、私は理解さんに頼んでみた。
「理解さん。すみません、私のことを思いっきり殴ってもらえませんか?」
「はい?」
うわ。理解さん、ドン引きだよ。
でも今の私にはそんなことは関係ない。これがちゃんと現実かどうか確かめないと。
「痛みにのたうち回るくらいの強さでお願いします」
「ちょ……やめてください。頬を差し出しながら近づいてこないで」
「理解さん、逃げないで!」
理解さんを追いかけ回すこと数分。自分の足に引っ掛かって転んだ。
膝が痛かった。