【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第17章 私も好き【3月】
side.柳蓮二
「仁王。お前に用があるという女子が来ている」
少し重々しい空気の中そう言うと、仁王ではなく柳生反応する。
「女子ですか?ご用件は?」
あからさまに嫌な顔をして聞いてくるものだから、少し驚いた。
そう言えば名前も聞いていない。
俺としたことが、この状況に少々動揺していたようだ。
もう一度ドアを開く前に深呼吸する。
「仁王に何の用だ?」
「あ、私、苗字名前と申します。あの、仁王雅治さんの知り合いというか、身寄りでして…」
「…(身寄り?)」
「えーと、仁王さんにお会いしたのと…、あと、彼がテニスをしてる様子が気になりまして…。こちらに伺った所存です」
「苗字名前と言ったか?」
「はい」
どうやら身内ではないらしいが、ファンというわけでもなさそうだ。
それに謎の大きいトランク2つ。
仁王の身寄り。
テニスをしている様子が気になりまして、か…。
この女子は仁王に何か関係しているかもしれないと感じた。
「入れ」
俺の言葉に慌ててこちらに視線を寄こす柳生。
仁王には声が届いていなかったらしく、俯いたままだが、俺は気にせずスッとドアを開ける。
そして、促されるように女が部室へ入った。