【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第15章 もう隣にいない【2月】
side.仁王雅治
「Gameset won by 仁王 6-4」
「…嘘だろ…」
「あの柳に仁王が勝つとか、マジかよ…」
みんなが愕然とした声を上げる中、俺自身も自分に驚いていた。
本当に夢中だったが、恐ろしいほど軽い体に違和感を覚える。
こんなに動くのは27歳の体で鍛えていたから?
あの体こそパワーリストだった?
それはさておき、ゲーム後の集中力が切れてしまった今。
感極まって震えるこの手を如何しよう。
テニスが楽しくて、
仲間に会えたことに喜んで、
強くなっていたことが嬉しくて、
体が震えて、涙が出そうだ。
もうラケットすら落としそうじゃ。
「…クールダウンしてくるき」
俺たちの試合に立ち尽くす仲間の顔を見ずに、俺は逃げるように去った。
こげな顔は名前以外に見せられん。