【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第14章 行ってらっしゃい【2月】
side.仁王雅治
名前が泣きながら怯えている。
俺はあっちの世界に戻れるんか?
名前は?
俺たちはどうしたら一緒にいられる?
「あたりまえじゃ。二度と忘れんよ」
「私の事は忘れてもいいから、約束ね?」
そんな悲しいこと言わんで。
「名前のことも忘れんよ。俺は名前も連れてくき。じゃけぇ泣かんで」
「…何それ?私は無理だよ」
「大丈夫。名前ちゃん“テニスの王子様”好きじゃろ?」
「それが関係あるの?」
「それなら問題なか。俺は名前を好いとう。何があっても離れん」
「…無謀だよ」
「一緒に向こうに行ってプロを目指すぜよ」
「私は行けないって」
「分からんぜよ。そん時は荷造りしときんしゃい」
あっちの世界に帰れたら…
そう考えたことは多々あった。
そん時は、二度と後悔しないように生きていきたい。
そう思ったけど、今は名前と離れるなんて嫌だ。