【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第14章 行ってらっしゃい【2月】
side.名前
昼間あんなに動いたのに、夜になっても眠気を感じない。
雅治くんと一緒にお布団に入っても寝付けなかった。
このまま寝てしまったら、
彼がいなくなってしまう予感がする。
「ねえ?起きてる?」
「ん?どうした?」
「ううん。ちょっと寝付けないだけ」
「抱っこしちゃる。きんしゃい」
「うん」
雅治くんに背後からギュッとしてもらう。
こうしていると、すごく落ち着く。
また涙が…
ここが私の居場所だと思ってた。
「今日、改めて思ったけど、雅治くんのテニス。私は好きだよ?」
「そうか?」
「うん」
あと少しだけ…
この温もりを覚えておきたい。
「名前。また泣いとるんか?」
「うん。でも大丈夫」
身体に刻むように。
「ねえ?」
「何じゃ?」
「もし、あっちの世界に帰って、何もかも忘れても。テニスに対する気持ちだけは忘れないでね?」
きっと今夜で最後だから。