【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第13章 好いとうよ【2月】
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その切れ長の瞳に吸い込まれてしまいそうだった。
今、何て言ったの?
私のことが好き?
まさかそんなことがあるわけない。
いつもの冗談でしょ?
大体、私みたいな普通の女の子のどこがいいわけ?
「冗談きついよ」
「冗談なんかじゃなか。本気で好いとう」
真っ直ぐ見つめるその瞳は、真剣そのもので。
私の胸はどんどん高鳴る。
もう誤魔化せない。
この気持ちも。
私の予感も。
息が詰まるような苦しさを感じながら、なんとか声を搾り出す。
「…ごめん、なさい」
「何で謝る?それは側におれんってこと?」
「…違う。側に…いてあげられる…」
「………」
感情がぐちゃぐちゃになり、言葉に詰まる。
上手く話せない焦れったさに、一度止まったはずの涙がまた出てきてしまう。
そんな私を雅治くん黙って見つめた。
どうしよう。
この目の動きは私の心を探ってる。
目を逸らさなきゃ。
お願い。
どうか私の心を見透かさないで。