【テニスの王子様】Nobody else【仁王雅治】
第13章 好いとうよ【2月】
side.名前
「…側に…おって」
「えっ?」
思いがけない言葉に顔を上げる。
すると雅治くんは困ったように笑っていた。
何でそんな顔してるの?
「名前が側におってくれたら、寂しくない」
私の目をしっかりと見つめる雅治くん。
「…それは……それは誤魔化しだよ。本当は皆とテニスしたいでしょ?」
帰りたいんでしょ?
「そうじゃな。本当はあいつらともう1回テニスしとう。でも会えんもんは会えん」
「………」
「だから名前が側におって?それだけで俺は救われる」
そんなことを言われると思っていなかった。
驚きで涙が止まる。
「…本当に……私が、側にいるだけでいいの?」
「だけ…なんかじゃなかよ?俺にとっては大事なことじゃ。俺の気持ち、分からん?」
“どくん”と胸が高鳴った。
そんな愛おしそうな目で真っ直ぐ見つめないで。
胸が苦しくなっちゃうよ。
私は目を逸らすこともできず、首を横に振ることしかできなかった。
「俺、名前のこと好いとうよ」